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普段はクールな人でも、かわいい乳児を前にすると思わず笑みがこぼれ、無意識のうちに「赤ちゃん言葉」を使ってしまいがちです。日本では「いないいない、ばあ〜」「そうでちゅか〜、かわいいでちゅね〜」といった具合に表現されるこの「赤ちゃん言葉」ですが、実は同じような話し方は世界中に存在します。海外では「ベビートーク」や「Infant Directed Speech(IDS)」と呼ばれ、ゆっくりで、メロディーがあり、甲高く、大げさであるといった特徴があるそうです1)。
では、当の乳児本人はこのベビートークをどのように受け止めているのでしょうか。そして、それは乳児が育った家庭の言語環境によって違いはあるのでしょうか。カナダ・Concordia UniversityのKrista Byers-Heinlein氏らは2017〜18年に、カナダ、米国、英国、フランス、ドイツ、シンガポールなどにある計17の研究施設で、ベビートークに対する乳児の反応について検証しました1)。研究の対象となった乳児は、バイリンガル(2つの言語)の家庭で育てられている333人と、モノリンガル(1つの言語)の家庭で育てられている384人。英語で話されたベビートークと通常の会話の両方を聞かせ、それぞれに対して乳児が注意を向ける時間を測定しました。
さて、気になる結果はどのようなものだったのでしょうか。バイリンガルとモノリンガル、いずれの家庭で育てられた乳児ともに通常の話し方よりもベビートークを好むことが分かりました。また、好みの程度もバイリンガルとモノリンガルで大きな違いがないことが示されました。乳児は育った言語環境に関係なく、ベビートークが好きな傾向があるようです。
なお過去の研究では、乳児は通常の会話と比べベビートークの方が母音を識別しやすいことが分かっています2)。また生後7〜8カ月の乳児を対象とした別の研究では、通常の会話と比べてベビートークの方が単語を長期にわたって記憶しやすい3)など、ベビートークが乳児の言語習得に有効である可能性が示唆されています。
「いい歳をした大人が、赤ちゃん言葉で話すなんて恥ずかしい」と思う人もいるかもしれませんが、ベビートークは乳児のためにもなっているようです。可愛い乳児に接したら、照れを捨てて「いないいない、ばあ〜」と話しかけてみてはいかがでしょうか。